旅行記者・緒方信一郎さんの
読んでトクする旅の話

第166回
ハーレムでの衝撃的な体験

ニューヨークのハーレムに行ったときのことです。
ハーレムにはゴスペル教会がいくつかあり、
中には観光や取材で入れるところがある。
私は取材で行ったのですが、それは、
それまで抱いていた「教会」というイメージを、
払拭してしまうような強烈な体験でした。

もともとゴスペル音楽は、
聖書の読めない人のために、
その内容を歌にして伝えるべく、
考え出されたものです。
その日も、聖歌隊がゴスペルを奏で、
信徒たちがそれに呼応するという形で、
ミサが進められていきました。
時間がたつにつれて、
ミサはだんだんと盛り上がっていきます。
やがて、それはミサというよりも、
コンサートのような様相を呈してきました。

子供を抱っこしたまま踊り出すお母さん、
何かに憑かれたように叫ぶ若者、
みんな思い思いに参加しているのです。
歌われているのは賛美歌ですが、
ブラック・ミュージックの、
そうですね、ラップに近いようなリズムですから、
不謹慎ですが、コンサートのようなイメージを
もってしまったのです。

後から聞いた話では、
いつもそんなに盛り上がるとは限らないそうです。
一方で、もっと、何といいますか、
トランス状態になって失神するほど、
興奮する人が出るときもあるそうです。
私が取材に行ったときは、
いわば、ちょうどいい盛り上がりを、
見せてくれたのかもしれません。

ハーレムですから生活が楽ではない人が多いはずです。
しかし、話を聞こうと、
ミサが終わって出てきた人たちを呼び止めると、
みんな、何かすっきりした、いい顔をしている。
強面のお兄さんの目も、
子供のようにキラキラしていました。
観光客に見学を許可している教会なら、
写真撮影をしたり、騒いだりという、
マナー違反をしない限り、問題ありません。
興味があるなら一度、
行ってみるのもいいかもしれません。


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