蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第140回 (旧暦5月28日)
夏の暑さを超然と凌ぐ仙人食

2日前に気象庁から発表された
向こう3か月間の長期予報によれば、
関東地方以西は今年も酷暑の夏を迎えることになりそうです。
おまけに、今年の夏は電力不足が伝えられ、
官民ともに早ばやと節電ムードに包まれていますから、
クーラーのご利益もあまりアテにできないことになるでしょう。
そこで今日は、夏の暑さを超然と凌ぐ
仙人食でも紹介しておくことにしましょうか。

仙人道を説くモロモロの書物をひもといていくと、
いにしえの仙人たちが好んで口にした食べ物として、
必ず「イワタケ」の名前が登場します。
このイワタケというのは、
菌類と藻類とが共生体をなす地衣類のひとつで、言ってみれば、
岩にへばりついた薄いコケのようなものですが、
仙人の本場である中国では「石芝(せきし)」と呼び、
古くから強精強壮の特効薬として
重用されてきたという歴史があります。

日本でも、北海道から九州まで全国に分布し、
本草学の書籍にもしばしば取り上げられているほか、
懐石料理では、湯葉で巻いてゴマ油で揚げた
巻煎(けんちん)など、各種のイワタケ料理が登場しますから、
彼の地の仙人同様に、これを口にする習慣が
古くからあったものと思われます。

もっとも、イワタケというやつは、
写真のごとくロープにブラ下がらなければ採れないような
断崖絶壁に生えるため、
だれでも簡単に手に入れられるわけではありませんが、
山奥の温泉地などでは、
たまに土産物として売られていることがありますから、
運良くこういうのに出合ったら、
ゼヒ買い求めておくことをおすすめします。

食べ方は、塩ひとつまみ加えた熱湯で4〜5分茹でて冷水にとり、
両手でやわらかく揉み洗いして汚れを落とし、
適当な大きさに切って三杯酢、酢味噌辛子などで和えるほか、
飯や粥に炊き込んだり、姿のままテンプラにしてもヨロシイ。
とりたてて美味というわけではありませんが、
独特の歯ざわりはなかなかにオツなもので、
仙人食とはいいながら、ビールや酒のツマミにもよく合いますゼ。

ちなみに、イワタケは、乾いていると脆くて折れやすいものの、
湿ると弾性が増して欠けにくくなるため、
梅雨時の今ごろが採取適期に当ります。

ロープにぶら下がってイワタケを採る仙人

イワタケ

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