第57回
組織ケーエイ学24: 自転車ソーギョー、です!

「こがなきゃ倒れる」「回転してなきゃ倒れる」という意味で、自転車操業とは、悪い経営の代名詞として使われている。

会社を作って10年目になるわけだが、残念なことに「こがなくても動く」と思えたことは、一回もない。一生懸命こいでるつもりでも、なんだかフラフラして、ときどき壁にコスったりしてる。実際のところ、経営はラクでない。

ひるがえって考えるに、「自分の会社はこがなくても走る」と思っている経営者は、いったいどのくらいいるだろうか?
ぼくなりにこの10年、経験を積んでいるはずだけれども、かえって「わが社は自転車ソーギョーだ」と年々つよく感じるようになっている。
大企業の経営者が、自分よりも相当格上であると仮定すれば、より深い洞察力と、先見性、慎重さがあるはず。そうであれば、そのような経営者はなおさら、「こがなきゃ倒れるゾ」という危機感を持っていて当然、とも思われる。

つねに技術革新とか業務改善とか、なにか強迫観念にとりつかれたように、追いたてられる。強い企業ほど、そういう意識がある。
「ウチは大丈夫」とばかりに、他人の会社を「自転車操業だ」と冷笑していられるのは、経営マインドのない社員のレベルか、はたまた、自分はゼッタイ安泰な公務員のメンタリティーではなかろうか?

進歩なくば死すべし。考えてみると資本主義の理念は、ずいぶんキツイものだ。新聞では、いずれの企業も「勝ち組」と「負け組」に二分されているけれど、勝ってなければすなわち負けという、シンプルな信念がある。そこでは、中間の生き方が許されていない。

ところで、日本の道路には、自転車が走る道がない。
多くの人は、自転車は歩道を走るものと思っているが、ルールでは車道を走ることになっているそうだ。デンマークのように、ぼくらにも歩道と車道の中間に、自転車がのんびり走れる道がほしい。そんなところで、すこしゆっくり生きてみたい。


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