第79回
カネカネカネのケーエイ学17:ポイントカードとマイレージ。

ポイントカードのシステムを最初にはじめたのはヨドバシカメラだったと記憶している(ヨドバシカメラもそう主張している)。当時はビジネスモデルに特許が認められなかった時代だったのかもしれないが、今であれば、確実にビジネスモデル特許に相当するすぐれたアイディアだった。

いまでは競合店もポイントカードシステムを取り入れており、還元率の数値が比較されるようになってしまい、苦しい部分もでてきた。しかし顧客のつなぎ止めと、安いと感じさせる効果はまだまだ持続している。

もともと「還元」には、数字のマジックみたいなところがある。
「100 %還元」と宣伝すれば、「タダになった」ように感じるものだが、その還元は現金ではなく次回商品券である。1万円買って1万円還元された場合も、実質は合計2万円の商品を1万円で売ったにすぎず、50%引きである。20%還元であれば実質は17%、10%還元の実質は9%引きである。心理と実質のあいだのわずかな違いが、
ヨドバシくらいになれば相当大きな金額になるだろう。

値引きの実現が次回に繰り延べさせられるので、資金繰りの上でもメリットがある。
次回もその店で買うことにより値引きが実現するので、他店に流出させず、顧客をつなぎ止める効果がある。
通常のポイントシステムは、1000点たまったらとかスタンプ50個集めたら、などと「目標点」が設定されるものだが、ヨドバシカメラには目標点がなく、どんなに少額でも次回すぐにポイントが使える。だから「ヨドバシのポイントは現金と同じだ」とお客さんは喜んでくれる。

目標型のポイントでは、目標点に達するまでにカード自体をなくしてしまったり、もうその店に行かなくなってしまったり、ポイントが滞留して空手形になってしまうことが多い。これを「値引きの不実現」と定義すると、その辺が店側のねらい目でもあるわけだが、まさにそのときに、顧客の流出が生じる。

還元ポイントの主目的を、値引きの不実現におくか、顧客の囲い込みにおくか。飛行機会社のマイレージなどは、多少安くても他の会社に流れないようにして、空席を埋めることの方が重要だろう。こう考えると、マイレージは現在の目標型ではなくヨドバシ型にした方がいいはずだ。


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