第91回
ブランドケーエイ学36:続、量目マーケティング。

前回、味の素の「穴」のつづきでソースの話をしたが、もちろん、ソースの消費量を増やすという考え方ができると一番いいわけだ。
もちろんこれについても考えたし、かなりユニークな、スイスイ流の解決策を見いだしたのであるが、ここでは書かない。次回クライアントに呼ばれたときのために、とっておくことにしよう。

味の素と同じ発想で消費量を増やすといえば、ずいぶん前からからライオンの歯磨きも同じマーケティングをやっていると考えられる。
テレビのコマーシャルでは、歯ブラシからこぼれおちそうなくらい、ビローンと歯磨きをたっぷりとつけていて、それが当たり前というふうに消費者に刷り込んでいる。
最近では、歯磨きそのものにわざわざストライプをつけて、たっぷりのばさなければきれいなストライプがでない=それは正しい使い方でない、といわんばかりの商品もある。すこぶるマーケティング的な商品といえる。

もちろんぼくも、そういうCMに洗脳されていたので、子どもの頃からビローンとチューブから歯磨きを押し出していたものだが、口の中であぶくが出過ぎて、なんとなく変だという感じはしていた学生時代は歯ブラシの幅の半分くらいに抑制することを覚えたけれど、今度はなんとなく罪の意識があった。本来は歯ブラシの幅全域にわたって、豪快に歯磨きを出すべきところ、半分でやめてる自分はシミッタレなんじゃないか・・・と。

そのことを歯医者さんに聞いたところ、歯磨きは使わなくてもいいものだ、と言われてびっくりした。「あれはミントが入っている。歯磨きをあんまり多くつかうと、スースーして気持ちがいいので、よく磨かないうちに磨いた気になって、ブラッシングが中途半端になってしまう。歯磨きを使うならば、ほんの少量使いなさい」と教えられた。
ガーンと頭を殴られたような気持ち、というのはああいうときを指すのだろうか。自分が歯磨きマーケティングのカモだったと気づいたわけである。

さて、量目マーケティングの続きとして、水虫薬の話をしようとしたのだけれど、いつのまにやらこんな時間。今回は歯磨きの話に終始してしまった。じゃ、水虫の話は次回にしよう。


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