第7回
カフェビジネスって何なの その3
性格は直らない、直すのは理性と習慣

始めて店の創業のお手伝いをしたのは
コロラドチェーンの10号店、世田谷区の千歳烏山商店街の
2階の10坪25席の店でした。昭和48年の事です。
経営者は30代の女性、OLからの転進でした。
自ら働いて貯めた金額500万円、
国から借りる金額は200万円
あとは親、知人からの借入金です。
ドトールコーヒーの直営店は当時
同じ世田谷区の三軒茶屋にありました。
12坪28席のコーヒー専門店で
一日300名近いお客様がお見えになり、
客席10回転以上の繁栄店でした。
出店を希望する加盟店の経営者でありながら、
この女性は店長以上の働きをしてくれました。

店はその人の性格です。性格は直りません。
良い性格はそのままに、悪い性格は
理性と習慣でコントロールするしかありません。
お店を持とうとするなら、
その前のビジネスで精一杯頑張らなければなりません。
成功にフロック(まぐれ)などないからです。
そしてこの性格にあった事件(良い事、悪い事)にしか
人は出会わないのです。

もしこの女性が、私はチェーンに加盟する人で
直営店で働いているのは創業に必要な知識や
技術のみ習得すれば良い、
ノウハウは加盟店を支払ったのだから、
無条件で知る事が出来ると云う、
損得だけで判断する人だったら
私はお手伝いをしなかったと思います。
トレーニングに来ているのは
その商いの本質を学ぶ所にあります。
自分の店のごとく思い行動する事が大切なのです。
この女性は社長も私も何度も自らの出店をあきらめ
次の直営店の店長になってもらいたいと
お願いをした人なのです。

フランチャイズチェーン本部、
ボランタリーチェーン本部の本当の役割と使命は
「責任請負業」であるべきと思います。
個人企業がきちんと運営が出来、
成功する為の指導が仕事です。
一店でも成功しない店があればそれは、
100%の成功とは云えません。
その失敗の本質はどこにあったかを知り、
学ぶ事が一番重要です。
もしこの本部に一つだけ弁明が許されるなら、
その失敗をする人を選んでしまった事だと思います。
ビジネスは人であると云いますが
カフェはすべてそれが出てしまう業種なのです。


『人は性格にあった事件にしか出会わない
良い事も事件、悪い事も事件である』


←前回記事へ 2003年3月2日(日) 次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ