第13回
カフェの経営資源 その5
2倍は満足:商品を創り出す

50%のコストをかけた
ドトールコーヒーショップのフードメニューは、
その後も開発コンセプトの理念として引きつがれ
現在のフードメニューの大半が50%のコストをかけています。
このポリシーのお陰でドトールコーヒーショップは
主力商品をセットメニューとした
ディスカウント販売の戦略を一切採っていません。
かけられる最大許容コストで商品を始めから開発するからです。
商品は良くなりました。
しかしまだ店の魅力の「小粋」がありません。
店の雰囲気は商品です。
この事を「アトモスフェアマーチャンダイジング」と云います。
お金がないから150円コーヒーを飲んでいるのではない。
忙しく時間をもっと有効に使いたいから
店を利用としていると云う
利用動機(モチベーション)にしなければならないからです。

このアトモスフェアマーチャンダイジングのポイントは
「居ごこち」の良さです。
居心地は三つの要素が相互にからみ合って、
良い印象と評価になります。
1つ目は「クレンリネス」・・・光り輝き、
清潔でぱりっとしている状態を云います。
2つ目は「黄金比率(ゴールデンレシピ、黄金分割)と云われる、
イス、テーブルの高さ、通路の巾と云った客席レイアウトです。
3つ目は「ニート(趣味の良さ)」と云う店で用いられる
絵画、花、観葉植物、装飾品です。
過ぎればオーバーデコレーションでヤボになり、
なければただのスタンドカフェになってしまいます。

ドトールコーヒーショップは
150円のコーヒーを売っているのではない、
300円以上出してもおかしくないコーヒーを150円で売っている。
これこそ最大の経営資源で他店との最良の差別化になるからです。
鳥羽社長の父親は美校(現在の芸大)を出た日本画家でした。
この血をひいた鳥羽社長はこの分野でも
抜群のセンスを発揮しました。
特に清掃、花、絵画には人一倍力を入れました。
この差別化要因にははっきり云って
投下資本も経費がかかります。
当時赤字経営であった直営店であっても
この投資と経費が削られる事はなかったのです。
この根底は「カフェは文化」であると云う理念があり、
人々を明るく前向きにさせる心のエネルギーを売る事が
本当の商品であると知っていたからです。


『2倍とは満足であり、顧客満足(CS)最良の商品である』


←前回記事へ 2003年3月10日(月) 次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ