第12回
カフェの経営資源 その4
1/2・50%は強力な差別化要因

1/2=4がドトールコーヒーショップの
ストアコンセプトと云うのはどう受け止められましたか。
シンプルな考え方、自分が厳しい意見を持つ一人の消費者だけに
「ツーコイン」と云った社員が見事ですが、
それをすぐ実行した鳥羽社長も優れた経営者です。
会議とは結論があり実行計画の報告会であるべき見本です。
しかしこの150円コーヒー、
実は思いがけない所で大きな壁にぶつかりました。
それはフードメニューを何にするかと云う事です。

コーヒーと一緒に飲めて食べられるフードメニューは、
ハンバーガー、フライドチキン、ドーナツ、サンドイッチです。
これらの商品はすでに有力なファーストフードのチェーン店が
主力商品として販売していました。
ドトールコーヒーショップが後から開発しても
コストも含めて勝てる見込みがありません。悩みました。
しかし唯一だれもやっていない商品があったのです。
それは「ホットドック」です。

ドトールコーヒーショップはホットドックを選び
その開発に入りました。
この時鳥羽社長に提案した200円の売価の試作品は
大声で叱られました。
「マクドナルドのハンバーガーが190円。それで売れるか」
この時ドトールコーヒーショップはメジャーを目指していると
身が引き締まる思いをしました。
目標売価は180円これは絶対なのです。

味も良いボリュームもある商品のテストが
繰り返し創られましたが、目標のコストに出来ません。
味を落とし、ボリュームを下げる逃げの開発は許されません。
この悩みを救ってくれたのが「ほっかほっか亭」のノリ弁当です。
創業者の田渕社長にお会いした時、
コストは65%、朝5時に入店し冷たい水で米を研ぎ、
20を超える工程で作られる事に比べ、
わずか5工程で提供出来るホットドックが
コストが50%(1/2)超えるのは当り前だと
勇気が急に出たのです。

商品の開発の始めと出口は
一貫した理想と目標がなければなりません。
180円でコスト65%のホットドックはこうして誕生しました。
その後商品のさらなる改良、販売量の増加で
50%(1/2)のコストまで下げる事が出来たのです。


『1/2とは最大許容限度と目標である。
50%を顧客への利益とし、不と無を今の1/2にする事である』


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