第56回
ストアコンセプトの実際 その1
120日前 二毛作か二期体型か

ドラマチックな出会いをした松井さんと村田さん、
ドイツのパン工場見学を約束し、
気持の高ぶったまま部下の斎藤さんにこう報告しました。
「斎藤君、最強の店が出来る。
それはカフェベーカリーだ。
セルフサービスのカフェに焼き立てのパンを提供する。
これならこの街に最も求められている業態じゃないか」

斎藤さんは意外にもこう云ったのです。
「セルフサービスのカフェは賛成です。
これにベーカリーの機能をつけるのも賛成です。
聞けばあのスターバックスの1号店から3号店までは
店内に大きなコンベクションオーブンをいれて
チョコレートクロワッサンを焼いていたと聞きました。
その原料はスイス製だったそうです。
しかし夜までのこのカフェベーカリーで良いのでしょうか。
私はプロントチェーンのような
パブスタイルに店を変化さえて
『二毛作型』の店にしたら良いと思うのですが」

この事業をスタートさせて30日。
毎日二人は街を歩き、
ベンチマークにするモデル店探しをしていました。
会社に帰っては「コンセプトシート」に
いくつもの形態のコンセプトを書き込み
討議を重ねて来ました。
二人が一致したのはやはりこの立地に必要とされているのは
「うまい、早い、安い、プチリッチ」
のキーワードを持つセルフサービスのカフェが
ふさわしいと云う事でした。

しかし松井さんの考えは終日カフェベーカリーであり、
斎藤さんは夜はフルサービス
(オーダーを聞きテーブルまでサービスをする方式)
のパブに切り替えて
一つの店で二つの業態を時間で変える
「二毛作型店舗」にすると云うのです。
松井さんは悩みました。

※蛇足ですが、二毛作店舗と名付けたのは私です。
  1回の来店で2回以上の購買動機
  『食べる、持ち帰る』を満たす店は
  『二期作型店舗』と名付けました。


『商売は24時間の営業時間で考える。
家賃は24時間分支払っているからだ』


←前回記事へ 2003年5月8日(木) 次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ