第70回
ストアコンセプトの実際 その15
100日前 セルフサービスではないヘルプサービスで!!

着々と記入されていくコンセプトシート、
松井さんと斎藤さんの顔にも笑みが見られる様になりました。
しかし、サービスと云う欄がくると、
当り前の言葉しか浮かばなくなりました。
そして何のためらいもなく
昼はセルフサービスで、と書いた時、
松井さんは、利用動機を今一度見直しました。
「今までのセルフサービスに満足しない人」
が最初に書き入れた言葉です。
それに対して何の考えもなしに
セルフサービスと書いた事は
本当に正しいのだろうか、と直感したのです。

アイコンタクトやスマイリングのないセルフサービスは
最もい嫌うサービスと
常々思っていた松井さんは
自分の両親が店をおとずれた事を想定しました。

高齢な両親にも不親切なセルフサービスだったら
感じの良いサービスには映らないだろう。
少し高くともオーダーもキチンと聞いてくれて、
商品もテーブルまで届けてくれる。
下げも店側がやってくれる
フルサービスカフェの店の方が
居心地が良いのではないだろうか。

松井さんは斎藤さんにこの悩みを打ち明けました。
二人は芝さんにも相談しました。
芝さんは東京銀座の隣町、
京橋にあるペンで有名な直営店
(株)パイロットの本社の1階にある
「ペンステーション」と云う店を見学する様すすめました。

セルフサービスの店でコーヒーは300円。
高い価格ですが、食器の下げは店側で行い、
布おしぼりも用意してあります。
この店を見て松井さんは、
はっきりとサービスのあり方が分かりました。
「そうだセルフサービスでは駄目だ。
コンセプトはヘルプだ。
お客様にも手伝っていただく。
店側もお客様をヘルプする。
だからヘルプサービスになるんだ」
松井さん本物を把んだ様です。


『顧客満足はお客様を
ハッピーにするハッピー産業でしか生まれない』
(画一的なサービス産業は衰退する)


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