第59回
裏口入学のために支払った費用は入学できなくても
返還を受けられません。

先週の宿題は、
裏口入学のために500万円を支払ったけど、
裏口入学できなかった場合最初に支払った500万円は
返してもらえる。
○でしょうか? ×でしょうか?

という問題でした。
みなさんはどう考えたでしょうか?

これは、なかなか法律的にも難しい問題です。
そもそも、裏口入学を頼んだ人が、
入れても入れなくても500万円支払うという約束であれば、
入れなくても返還を求められないという結論になりそうです。
でも、「500万円払ってくれれば、裏口入学させますよ。」
と入学させることまで約束して500万円を受け取った場合には、
入学できなければ500万円を返すという結論になりそうです。

この例は、最近実際に裁判として争われました。
結論はどうなったかというと、返還請求は認められませんでした。
裏口入学させると言って騙した方の丸儲けです。
どうしてこのような結論になるか説明します。

法律には、「違法な行為は応援しない」という考え方があります。
裏口入学はもともと違法な行為です。
依頼する方も依頼を受ける方も
どちらも法律の枠を超えているわけです。
だから約束が果たされないとしても法律は
どちらも応援しないということになります。
どちらも応援しない結果にお金を払った方が
損をするということなのです。
これを専門用語で「不法原因給付」(民法708条)と言います。

よく麻雀の賭け金は
法律的には払わなくてもいいと言われているのが
これと同じようなことです。
法律的には払わなくてもよいのですが、
払ってしまうと逆に取り戻すこともできません。
裏口入学裁判の件について、
返還が認められないのが原則ですが、
お金を取った方が最初から裏口入学させることなど出来ないのに
積極的に騙してお金を出させたなどという具体的な事情によっては
返還を認められる場合もあると考えます。

法律の枠を超えたようなことをすると、
あとで泣いても法律は助けてくれません。
気をつけましょう。


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2002年11月18日(月)

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