第74回
会社の代表者を辞めても、会社の保証人は辞められません。

先週の宿題は
Aさんは株式会社Qを経営しています。
Aさんは引退し、部長であるBさんに会社を譲りました。
Aさんは会社の借り入れについて保証人になっていました。
Aさんは会社を引退し、Bさんが会社を引き継いだのだから、
Aさんは会社の保証人でなくなり、Bさんが会社の保証人となる。
○でしょうか? ×でしょうか?

でした。みなさんはどうお考えになったでしょうか?

答えは×です。
会社の借入の保証人となる契約は、
お金の貸主(例えば銀行)と保証人との間でする契約です。
だから、貸主の承諾をもらわないで、勝手に辞めたり、
新しい人にしたりすることはできないのです。

大会社では、社長の個人保証は取られないのに、
中小企業では必ず社長の個人保証を取られます。
だから、中小企業では、
社長が経営に失敗すると身ぐるみをはがされてしまい
一文なしになってしまうので、
創業が進まないなどと言われてしまいます。

ただ、実際に債権者の声を聞くと、
会社を倒産させたのに
元の経営者が普通通り生活するのはおかしい、
という声が多いのも事実です。
法律上は会社と経営者は別だけれど、
実際は中小企業の場合は必ず経営者が
会社の借入れの保証人とされてしまっていることについては
どちらが正しいとは言えません。

しかし、本問のように会社を辞めても
会社の保証人を続けなければならないのであれば、
会社を辞められないことになってしまいます。
他人に経営が移った場合でも
自分が責任を負うのであれば
自分がやっていた方がましだというわけです。
それで事業の継承がうまく行かないケースもあります。


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2002年12月9日(月)

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