第102回
事務所を借りるにも決算書が要求されます。

これもまた「お金を借りる」のときに、
決算書が要求されるという話を第6回くらいで説明しましたが、
「事務所を借りる」ときにも決算書を要求されます。
この理由は、みなさんおわかりのとおり、
契約した後で賃料をきちんと支払ってもらえるか
確認するためです。

建物賃貸借契約では、
金銭消費貸借契約とは違って、
事務所や店舗の使用ということがあります。
だから、貸主からすると、一度契約してしまうと元に戻す、
つまり明け渡しをするには
大変な費用・労力がかかってしまいます。
だから、事務所や店舗を貸す前には、
きちんと賃料を支払えるのか
決算書などで収入を確認するわけです。

「お金を借りる」「事務所を借りる」で、
印鑑証明書や決算書の話をしているのは、
もちろん実際の取引で要求されるものを説明する
という意味もあります。
でも、契約するときの基本だから
みなさんに知ってもらいたいということもあるのです。

弁護士としていろいろな相談にのっていますが、
大体中小企業の方たちは、お金を借りたり、
建物を借りたり、物を買ったりなどの契約で
自分が支払うことについては、きちんと契約書を交わされて、
印鑑証明書や決算書を相手方に提出しています。
しかし、自分が支払ってもらう方になる契約では、
当事者の確認や相手方の収入状況の確認はしていません。
もちろんケース・バイ・ケースですが、
相手方の確認や支払能力確認の手段として、
印鑑証明書や決算書を提出させる方法があるということを
理解してもらいたいと思い、説明しています。

詳しいことは、「商品を売る」でまた説明します。


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2003年1月30日(木)

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