第106回
定期借家契約と普通の建物賃貸借契約は
どちらが得かよく考えてください。

定期借家契約と普通の建物賃貸借契約は
どちらが事業者にとって得でしょうか?

一見、定期借家契約は
期間が来たら明渡さなければならないので、
借りる側からすると不利のようにも思えます。
しかし、通常建物賃貸借契約は2年更新で、
更新料を取られることになります。
そこで、例えば10年の定期借家契約にすると、
その期間の更新料は不要になります。
ただ、10年契約とした場合、
中途解約の条件がどうなっているか重要になってきます。

中途解約について、一切認めないという契約の場合には、
10年間その場所で
事業を行なわなければならないことになります。
10年間そこで事業を続ける見込みはあるのか
変動の要素はないのかなど検討しなければなりません。
逆に、10年の定期借家契約でも、
1ヶ月前とか3ヶ月前に予告すれば
解約できるという契約内容であれば、
更新料がない分、10年の定期借家契約にした方が得なわけです。

それから、賃料の増額・減額については、
普通の建物賃貸借契約では、
契約書で賃料の増減についてどのように書いていても、
法律で経済状況の変動によって、
賃料も増減できることになっています。
しかし、定期借家契約では、契約書で、
賃料は契約期間中一定とするなどと定められている場合には、
契約期間中、賃料は一定になります。
定期借家契約では、賃料の増減については、
契約書に定めたとおりになります。

定期借家契約の場合、賃料が安かったり、
用意する敷金保証金の額が少なくて済んだりして、
普通の建物賃貸借契約より借主にとって得な場合もあります。
しかし、契約の内容どおりで、
借主に不利でも法律が借主を助けてくれない場合があります。
だから、定期借家契約を締結する場合には、
普通の建物賃貸借契約以上に、
事前に契約内容をよく検討することが必要になります。


←前回記事へ

2003年2月5日(水)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ