第219回
相手が財産の名義を変えてしまった場合
取り戻す方法があります。

債権回収の相談を受ける際に、
もし相手方が、財産の名義を変えてしまったら
どうなりますかという質問を受けます。

このままでは差し押さえられてしまうから、
会社名義の財産を他の会社名義にするとか、
夫名義の財産を
妻名義に変えるなどが行われることがあります。

法律は、これらの行為に対抗し、
他人名義になっている財産を
取り戻す方法を用意しています。
名前を債権者取消権と言います(民法424条)。
詐害行為(さがいこうい)取消権とも言います。

この権利は、代金を支払えと交渉していたら、
夫名義の自宅が妻名義に変えられていたという場合に、
夫から妻への移転行為を債権者が取り消すことにより、
妻から夫へ名義を戻すことができるという制度です。
いつでも取り消せるかというとそうでもありません。

夫から妻への名義変更した時期には、
夫が債権者に支払うお金を十分に持っていた場合は、
自宅を奥さんに無料であげたとしても、
他の債権者には持っている現金で支払うことができるので、
債権者取消権は行使できません。

また、名義変更を受けた人が
全く事情の知らない第三者で、
取引相場から見て適正な代金を支払っている場合には、
債権者取消権により第三者から債務者へ
名義を戻すことはできません。

しかし、こちらがしつこく請求している最中に、
急に名義書換をしたような場合には、
相手方に事情を話したりしなければ
名義書換はできないはずです。
だから、実際は債権者取消権の対象となるケースも
多いと思います。

相手方が名義を変えてしまったからといって、
諦める必要はありません。


■今週の宿題 ■
債務者の財産を差し押さえした場合、
最初に差し押さえた人が
他の人に優先して弁済(返済)を受けることができる。
でしょうか? ×でしょうか?

お答えをお待ちしております。


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2003年7月22日(火)

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