弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第37回
家裁、簡裁、地裁はどう違う?

訴えられたときには裁判所から通知が来ます。
一口に裁判所と言っても、
地裁、家裁、簡裁、高裁、最高裁と5種類あります。
逆に言うと、日本の裁判所は、
現在、この5種類しかないということです。

裁判は三審制が取られているということは、
みなさんご存知のとおりです。
念のため言うと、1つの紛争で、
一審、二審、三審と3回
裁判所に判断してもらうことができる
というのが三審制です。
この中で、最初の裁判、
つまり一審を担当するのが、地裁、家裁、簡裁です。

・地裁―地方裁判所
裁判のほとんどはこの地裁から始まります。

・家裁―家庭裁判所
その名のとおり、主に家庭の問題を取り上げます。
夫婦、親子、相続、介護(扶養)に関する紛争を取り扱います。
少年の犯した刑事事件も取り扱います。
痴呆になってしまった高齢者の財産を管理する人
(後見人)などを選任するのも家庭裁判所です。

家庭の問題は、
まず話し合いをした方がよいという理由から、
いきなり裁判所の判断を求めることはできず、
裁判の前に調停(話し合い)をすることになります。
離婚、遺産分割、生活費・養育費の請求などは
訴えられると言っても、
最初に来るのは裁判でなく調停に関する呼び出し状です。

調停で解決しない場合、裁判に移行します。
しかし、遺産分割、生活費・養育費の請求は
家庭裁判所で判断されますが、
何と離婚は地方裁判所で裁判をすることとなります。
(ただ、今後は制度が改正されて
 家裁で全部の手続をすることになりそうです。)

・簡裁―簡易裁判所
簡裁は、地裁と同じ事件を取り扱います。
違うのは請求額が90万円以下か
90万円を超えるかという点です。
請求額が90万円以下の訴訟を取り扱うのが簡裁で、
それより多い額の訴訟を取り扱うのが地裁です。

以前説明したとおり
簡裁では弁護士でなく
従業員に裁判をやらせることも可能です。
ただ、請求額が90万円以下だからと言って、
訴訟が易しいわけではありません。
でも90万円以下の請求に費用、
労力をかけて訴訟をやる必要があるかと言えば
そうでもないケースも多いでしょう。

一般に簡裁では、
自分で訴訟をやる人も多く
裁判官や裁判所の職員は親切です。
ご自分でやる、
あるいは従業員にやらせてみてはいかがでしょうか?


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