弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第69回
解雇問題の解決方法

【会社側】
会社側では、財政状況や業界における競争力から、
人員削減をしなければならない
という必要性があることに変わりませんから、
会社の財務状況等を明らかにし、
従業員の削減が必要なのか、
賃下げで乗り切れるのか
従業員と話し合い、決定する他ありません。

客観的に、財政状況から、
従業員の削減や賃下げが必要であれば、
強制的に、整理解雇や賃下げを行なうことが可能です。
その場合、前回説明した
整理解雇の4要件を守って
解雇するということになります。

財政的に余裕があるのであれば、
退職金を上乗せして
任意に辞めてもらうというのも一つの方法です。

従業員のことを思って、手遅れになると、
結局会社自体破産ということにもなりかねません。
そうなれば、従業員も経営者も不幸になりかねません。

【従業員側】
具体的な理由のない解雇や賃下げに対しては、
承諾をしないことが必要です。

解雇や退職、賃下げを承諾してから、
弁護士に相談する方が結構いるのですが、
承諾してから争うことが全くできないか
というとそうではありませんが、
かなり難しくなります。

解雇を争う場合、
会社は解雇を有効だと主張しますから
争っている間給料はもらえないこととなります。

また、従業員は解雇は無効であり、
その会社の従業員だと主張しているわけですから、
争っている間他の会社に就職するわけには行きません。

しかし、それでは、
事実上従業員が解雇を争えなくなってしまうので、
給料を会社から仮払いしてもらう
仮処分という手続きがあります。

仮処分をしてから、
裁判で解雇の無効を争えば、
裁判中給料を支払ってもらえるので、
裁判が長期化しても
安心して争えるということとなります。

従業員の解雇や賃下げのトラブルが
最近かなり増加しており、
従業員側が弁護士費用を負担するのは大変なことから、
個別労働関係紛争について、
都道府県が紛争解決について
助言やあっせんをしてくれる制度があります。

訴訟と違って、
会社がどうしても話し合いでは解決しないというと、
解決できないのですが、
会社との間に労働関係に詳しい人が入って
話し合いをすることができますので、
利用の価値はあると考えます。


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