弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第71回
証拠がなくても、裁判に勝てる場合(自白)

前回、裁判に勝つには、
証拠が必要だと説明しました。
でも、証拠がなくても勝てる場合があります。
それは、相手がこちらの主張する事実を認めた場合です。
これを、裁判上、自白と言います。

一般的に、自白は、刑事事件で、
自分が罪を犯したことを認めることの意味で使われています。
しかし、民事裁判では、
相手の主張した自分にとって
不利な事実を認めることを全て自白と言っています。
お金を借りたことを認めることは、自白となります。

借用証書に署名捺印をもらっておらず、
特にお金を貸したという証拠がなくても、
相手が認めれば、裁判では勝てるのです。

刑事事件では、自白があっても、
他の証拠から自白が嘘と思われる場合には、
裁判所は無罪とすることが出来ます。
また、撤回することもできます。

ただし、一度、自分がやりましたと自白して、
その後自白を撤回しても、
なかなか信用はされません。

これに対し、民事裁判では、
他の証拠から本当は
お金を借りていないと思われるケースでも、
お金を借りたことを認める自白があれば、
裁判所は、自白に拘束されて、
貸金返還請求を認めなければなりません。

実際には、お金を借りていないのに
借りたと自白する人はいません。
しかし、うっかり自分に不利な事実を認めてしまう、
つまり、自白してしまうことはありえます。

一度自白してしまうと、
相手に同意がある場合や、
客観的に誰が見ても自白は間違いだ
という証拠がある場合以外
撤回が認められません。

だから、相手の主張していることが、
そのとおりだと認めるかどうかは、
慎重にする必要があります。


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