弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第83回
訴訟に勝つための作戦集20−証人尋問でうまく証言するには

法廷で、証言すること自体、
一生に一度あるかないかのことです。
しかも、裁判では、勝負がかかっていますから、
誰しも証人尋問では裁判が有利になるように
うまく答えたいと思うのは当然です。

そのためには、
どうしたらよいかということをお話します。

まず、自分の依頼した弁護士と
相手方が裁判で提出した訴状、
答弁書、準備書面といった
お互いの主張の書いてある書面をよく読みましょう。

弁護士は、みなさんから聞いた話に基づいて
主張をしていますので、
書面に書かれていることは
全てみなさんが知っていることかもしれません。
しかし、弁護士は、みなさんが裁判に勝つために、
みなさんから聞いた話を
法律に当てはまるよう整理して主張しています。
そして、有利な事実は強調し、
不利な事実は出さなかったり、
控えめに書いていたりします。

証人尋問はその書面に書いてある事実を
証明するために行なうのですから、
これまで提出した書面をよく読むことによって、
こちらのスタンスをよく理解しておく必要があるのです。

そして、相手の主張内容も確認しておきましょう。
相手の主張を読むときには、
相手の嘘ばかりに目が行ってしまいがちですが、
相手がこちらの弱いところを突いてきているときには、
証人尋問でも、その点を聞かれる可能性が強いからです。

現在、裁判では証人尋問の前には
必ず証人尋問を行なう人の陳述書を提出します。
この陳述書とは、
裁判に関する事実関係について
証人の認識を書いたものです。

内容は、裁判の相手方と、
どのように知り合い、どのような話をして、
その後、どうして、裁判になったということを
証人の記憶のとおりに書きます。

弁護士は、この陳述書を、
みなさんの話を聞いて、
準備書面などの主張を裏付けるために
作成していますので、
証人尋問では、
この陳述書の内容を裁判所で
きちんと説明できれば十分です。

逆に、証人尋問で、
それまで提出した準備書面の主張や
陳述書の内容と違う証言をしてしまうと
問題があります。

だから、証人尋問の前には、
訴訟で提出されている書面と陳述書を
よく読むことが必要です。


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