弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第92回
和解できない場合がある

和解は、これまで説明したとおり
かなりメリットがあります。
しかし、和解ができない場合があります。
それは、相手が和解に応じない場合です。

和解は、あくまでも
両当事者が合意しなければ成立しません。
事案の内容や見通しから、
和解案の内容が相手にとって有利で、
原告被告間のトラブルを解決するのに
一番よい方法であったとしても、
相手が「うん」と言わなければ和解は成立しません。

そういう場合には、
いかに相手にとっても
合理的な内容の和解であるかを理解してもらうために、
まず、相手の弁護士を説得し、
相手の弁護士に相手本人を説得してもらいます。

それでも、だめなら、
裁判官に相手本人を裁判所に呼んでもらって
説得してもらうという方法を取ります。

日本人に裁判官を敬う気持ちがあるからか、
裁判官が最終的な判断権限を
持っているからかわかりませんが、
意外に、裁判官の説得に応じる本人は多いです。
もちろん、裁判官の説得に応じない人もいます。

それで、こちらが和解のメリットを得ようとして、
内容を譲って和解する気持ちがあったとしても、
和解は強制できませんので、
和解できない場合が出てきてしまいます。

相手と見通しが異なる場合や
相手が感情的になってしまった場合などは、
和解ができません。 

和解ができないと、面倒でも、
お互い主張・反論を繰り返し、
過去について調査をし、証拠を提出し、
さらに証人尋問などを時間をかけて行ない
判決を取るほかありません。


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