弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第106回
トラブルに遭いやすい性格や行動

前回の続きで、
今回はトラブルに遭いやすい性格や
行動について説明します。

(3)言ったことを守らない
  当たり前ですが、言ったことを守らなければ、
  言ったことを守れ、
  あるいは、言ったことと違っているから
  契約違反だと訴えられる可能性があります。

  将来そうなるのか確実ではないにもかかわらず、
  「できます。」「やります。」
  「上がります。」「儲かります。」などと
  断定的なことを言った場合にも、
  後でトラブルになる可能性が高くなります。

(4)文書を交わさない
  「相手から免除を受けた」、
  「相手はこれで承諾した」というとき、
  相手から文書でもらっておかないと、
  後で、「言った。」「言わない。」のトラブルになります。

  よくあるのが、
  請負工事における追加工事について、
  それは追加なのか、
  追加工事の代金はいくらなのかについて、
  文書を交わさずに口頭でやるケースです。

  すると、工事が終わった後に、
  「追加工事でなく、本工事に含まれる」
  「こちらの注文した内容とできたものが違う」
  「追加工事であっても、代金について合意していない」
  などの主張をされることとなります。

  訴訟になっても、
  「言った」「言わない」となり、
  せっかく工事をしたのに代金がもらえず
  損してしまうことにもなります。

(5)うまく行かない場合のことを考えない
  みなさん、物事を進めるときには
  悪いことは考えません。
  でも、物事は常にうまく行くとは限りません。

  だから、万一うまく行かない場合のことを考えないと、
  後で思わぬトラブルに巻き込まれるということになります。
  簡単に人を信用してしまうというのも、この類型に入ります。

(6)細かいことを気にし、許容性が無い
  これは、ビジネスにおいてというよりは、
  親族や夫婦、隣人との関係などで問題になります。

  こういう方は、どちらかと言うと、
  訴えられるというよりは、
  訴える側に回ることが多いかもしれません。
  あるいは、通常の人なら話し合いで解決できることが
  訴訟をして判決まで行かないと
  解決しないということになりやすいです。

  人は機械ではありません。
  人として、好ましくないという行為に対し、
  いちいち法的手続きを取っていたら、
  紛争は増えるばかりです。

みなさんもトラブルとならないよう気をつけましょう。


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