弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第35回
借地権は売却できる

前回、借地権は
半永久的に土地を利用できる権利だと説明しました。
それだけでも、
借地人にとっては大きなメリットですが、
借地権を売却することができるのです。

しかし、通常、土地の賃貸借契約書には、
借地権を譲渡することは禁止されています。
仮に、契約書で譲渡禁止とかかれていなくても、
地主の承諾なく、
第三者に借地権を譲渡してしまうと
契約を解除されてしまうこととなります
(民法612条2項)。

とすると、
借地権を売却することは
できないように思えます。

しかし、法律は、
第三者に借地権を売却する前に、
裁判所の許可を得ることによって、
借地権を売却することを認めているのです
(借地借家法19条)。

この許可を得るためには、
1.借地権を買う人が、地代を支払う資力のあること
2.借地上の建物に住むなど
  地主に迷惑をかけない方法で利用すること
3.地主に、借地権価格の10%の承諾料を支払うこと
が必要です。

借地権売却の許可を得るためには、
期間は半年くらいかかります。
借地権の価格は、一般に、
土地の時価の5割から7割と言われています。

借地権を持っている借地人は、
このように裁判所の許可を得て、
売却することができるので、
借地権は、大きな財産権なのです。

借地権売却の手続の中で、地主は、
第三者に売却されてしまうくらいなら、
自分が買い取った方がよいと考えれば、
借地権の買受希望者に優先して
買い取ることができます。
これを地主の介入権と言います。

ただ、地主は買い取らなければなりませんので、
借地人は地主に一定の代金を
払ってもらうことができます。


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2005年2月10日(木)

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