弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第39回
会社のメリットは会社の負債を個人が負わないことにある

会社を設立して
ビジネスをする(起業する)ことを
勧める文章などを読むと、
大抵、前回説明した
(1)顧客や世間に対する信用が上がることや
(2)税法上のメリットが書かれています。

しかし、実際は
そうとばかりは限らないということを
よく理解しておいてください。

あまり言われていませんが、
会社設立には、大きなメリットがあります。
それは、いざ会社の業績が思わしくなくなったときに、
借金などの負債の支払いを会社だけの責任にして、
経営者である個人が負わなくてもよいことです。

これは、会社設立の大きなメリットなのですが、
あまりこのことは取り上げられていません。
それは、会社がつぶれたら、
経営者が個人資産をはたいてでも、
債権者に支払うのが当然と
皆さんが思っているからかもしれません。

しかし、法律上は、
会社の借金などの負債は、
会社の不動産や売掛金などの
資産から支払われるもので、
経営者が個人の資産を売却して
支払う必要はないのです。
ただ、会社ならどんな会社でもそうかというと違います。

会社には、合名会社、合資会社、
有限会社、株式会社があります。
この中で、合名会社、合資会社では、
会社の負債の支払いを経営者が
個人の財産から行なう必要があります。
だから、合名会社や合資会社では、
会社設立のメリットはあまり得られません。

これに対し、有限会社や株式会社では、
会社の負債と経営者や株主個人の資産は
分離されているので、
会社の債権者が、会社が倒産した場合に、
経営者や株主の資産を
差し押さえることはできません。

そこで、会社を作るのであれば、
株式会社か有限会社を作ることをお勧めします。


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2005年2月24日(木)

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