弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第40回
1円で会社が設立できる

前回、会社設立のメリットは、
会社の借金や買い掛けなどの負債を
経営者個人が負わなくて済むことにあり、
そのメリットがあるのは、
株式会社と有限会社であるという説明をしました。

この株式会社と有限会社を設立するには、
株式会社で1000万円、
有限会社で300万円の資本金が必要です。

しかし、普通の人、
特にこれからビジネスを始めようとする若い人は、
300万円も持っていない人も多く、
1000万円となると
なかなか難しいということがあります。

そして、日本経済が不況なのは、
起業家が少ないからであって、
会社設立の際の資本金のハードルを低くして
もっと起業を盛んにしようという議論の結果、
「中小企業挑戦支援法」
(正式名称は
 「中小企業等が行う新たな事業活動の促進のための
  中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律」)が
制定され、平成15年2月1日から、
資本金が1円以上であれば
株式会社や有限会社を設立できることとなったのです。

これが、1円会社とか
1円企業(1円起業)と呼ばれるものです。

ただ、今のところ、設立の際には、
資本金が1円以上であればいくらでもよいのですが、
設立から5年経ったときに、
資本金を有限会社なら300万円、
株式会社なら1000万円としなければなりませんから、
注意が必要です。

この1円会社の利用は結構多いようで、
最低資本金を下げて
起業をする人を増やすという国の政策は
当たったかもしれません。

これに気をよくしたためかどうかは分かりませんが、
現在5年限定の1円会社を恒久的にするために、
今度の商法改正で、
株式会社と有限会社の最低資本金は
撤廃しようという議論がなされています。

いつ改正されるかはわかりませんが、
経営者にとってメリットの大きい
株式会社、有限会社の設立が簡単になりそうです。

1円会社と言いますが、
定款の認証料、定款に貼る印紙代、登録免許税などで、
資本金の他に、株式会社で約30万円、
有限会社で約20万円かかりますから、
1円だけでは会社を作ることはできません。

設立手続を専門家に依頼する場合には、
上記実費の他に手数料が必要となります。

もちろん弁護士に
会社の設立を依頼することも可能です。
(僕はやりますが、できない弁護士、やらない弁護士もいます。)


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2005年3月1日(火)

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