弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第50回
疑うべきは理事長だけでなく

マンションの管理組合のお金に手をつけるのは、
理事長とは限りません。
小さな規模のマンションでは、
管理会社に委託せず、
管理人に事実上任せているケースもあります。

この管理人が、
メンテナンスや修繕工事を行う業者と癒着して、
リベートをもらったり、
架空工事の代金を支払ったりする
というケースもあります。

じゃあ、管理会社に依頼すればよいかというと、
そういうわけでもありません。

通常、大規模なマンションでは、
そのマンションを建てた
会社の関連会社が管理を行なっています。
最近は、そうでもないかもしれませんが、
「マンションは管理で儲ける」などといって、
マンション管理は
利益の高い事業だとされてきました。

マンション管理会社は、
自己の関連会社に
修繕工事やメンテナンス等を発注するのであって、
お互い身内同士ですから、
その査定金額は、言い値ということになります。

そこで、適正な値段で
工事やメンテナンスを行なっていれば
管理組合の預金がもっと残っていてよいはずなのに、
なくなっているということとなるのです。

管理組合のお金は、
マンション所有者のお金であるけれども、
その管理や支出については、
ついつい人任せで、無関心になりがちです。

しかし、個々のマンション所有者が支払っている
管理費や修繕積立金は、
少ないように見えても、
マンション全体では相当な金額になりますし、
支払期間が長期間に亘れば、
個々の所有者が支払う積立金や管理費も
多額の金額になります。

これらは全部
マンション所有者の財産ですから、
その支出については、
忙しくても、関心を持つことが必要です。

誰に任せるかではなく、
管理会社や管理人、管理組合の理事長が
きちんとマンション所有者のために
管理を行なっているのか、
各マンション所有者が
チェックすることが大切なのです。

実際、相談を受けた事案では
何千万円も管理組合の預金から
不正に支出されていたケースもあります。
ご注意ください。


←前回記事へ

2005年4月5日(火)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ