弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第51回
困難なマンション建替え

マンションは、
日本の高度成長期に建てられ始め、
普及してきました。
これらが、老朽化し、
建替えの問題が生じています。

建替えについては、法律
(「マンションの立替の円滑化等に関する法律」と言います)
ができて、要件が緩和されました。

しかし、マンションの建替えは、
右肩上り経済の終了や
所有者の高齢化といった問題から、
困難な状況に陥っています。

右肩上り経済が続いているときには、
建替える際に、戸数を増やして、
増やした戸数を売却することにより、
建替え費用が出るということもありました。

また、右肩上り経済の下では、
建替え時点で建替え費用を負担したとしても、
その後マンションの資産価値が上がるので、
お金を出しても
建替えを積極的に推進しようという気にもなります。

しかし、右肩上り経済が終わってしまうと、
建替えたマンションは、
通常値下がりして行きます。

しかも、建替えが問題となるマンションでは、
購入したときは30代で
35年ローンを支払って来た所有者も、
マンションとともに高齢化しているのが通常です。
収入も年金のみという方が多くなります。

そういう状況では、
自分はそう若くもないし、
建替え費用を負担してまで、
マンションを建替えようとは
思わない所有者も多くなります。

すると、自分の住んでいるマンションが
老朽化したので
資金を用意して建替えたいと思っても、
他の所有者の同意を得られず
なかなか建替えることができない
ということとなります。

戸建でなく、マンションを購入する場合、
建替えまでの期間はどれくらいなのか、
建替え時期が来たらどうするか、
頭に入れておく必要があります。

マンションは売却すればよい
と考える方も多いと思いますが、
40年から50年後に、
建替え困難なマンションを売却する場合
相当安い値段でないと売却できない
というリスクがあることを
押さえておいてください。 


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2005年4月7日(木)

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