弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第58回
大家の憂鬱

雇用による収入が不安定なためか、
あくせく働きたくないのか、
不動産投資による収入を考えている人が
増えているようで、
新聞の書籍広告を見ると、
不動産投資、不動産賃貸に関する書籍が
多数出版されています。

マンションやアパートの収入で
生活できるなんて、
あくせく働かなくて済むし、
不動産を持っていない人からすれば
うらやましい限りです。

しかし、僕は、
地主や大家と呼ばれる方の相談にも乗りますが、
傍から見るより、苦労することも多いようです。
僕は、そういう方から相談を受けると、
「それは、ない人からすれば、羨ましい悩みですよ。」
と言っています。

マンションやアパートにより収入を得る上で、
一番注意しなければならないのは、
みなさんご承知のとおり、
値下がりリスクや空室のリスクです。

都心では、現在、
どんどんマンションが建設されています。
日本の総人口が今後、
横ばいか減少と予想されることからすると、
これらの入居者を探そうとすれば、
地方から都心へ
人口を吸収しなければなりません。

現時点では、地方経済の停滞もあり、
その傾向が顕著なようです。
不動産投資は、
長期の投資を前提としていますから、
不動産の価値を測るに当たって、
このような東京と
地方の関係を考えなければなりません。

一見、好調に見える東京都心部ですが、
次から次へとマンションが建てられれば、
都心部同士の競争が激しくなります。

駅からの距離等の立地・賃料・日当たり・築年数など
借りる方は少しでも条件の良いところに移っていきます。
分譲マンションとも競争となります。

例えば、あなたの建設した
あるいは購入したマンションが
建設当初周辺では、最も新しく立派で、
日当たりも良かったとしましょう。
しかし、5年後、10年後を考えたときに、
自分のマンションは古くなって行くのに対し、
隣に新しく大きな最新の設備を備えたマンションが建ち、
しかもこちらのマンションは
日当たりも悪くなるということもありえます。

近隣の大学や企業が移転する
ということも考えられます。
予定された開発も遅れている
ということになるかもしれません。
これらは、実際にあったことです。

大家になるということは、
みなさんわかっているとは思いますが、
これらのリスクを負った上で、
不動産に投資をするということなのです。

これらは経済的なリスクで、
弁護士は専門外ですから、
みなさん、ご自分で調査し、判断した上で、
投資を行なってください。

次回は、法的リスクについて説明します。


←前回記事へ

2005年5月10日(火)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ