弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第63回
狙っているのは業者だけではない

バブル経済崩壊後、
サラリーマンはリストラ、賃下げで、
お金を持っているのは、
高齢者かIT長者かと言われていますから、
いろいろな業者が高齢者の財産を当てにしています。
デパートしかり、旅行業者しかりです。

でも、気をつけなければならないのは、
株や投資信託保険などの
金融商品、不動産投資など、
高額な商品を販売する営業マンでしょう。

先日説明したリフォーム会社や
健康食品、貴金属類、浄水器などの
訪問販売についても、
問題のある会社があります。
宗教にも、多額の出費を求めるものがあります。

このように高齢者の財産を狙っているのは、
まともな企業から
悪徳業者といった業者だけではありません。

実は、意外というか意外でないというか、
身内の者が高齢者の財産を
当てにしているということはよくあるのです。

例えば、高齢者の方が病気で倒れたりすると、
それまで顔も見せなかったような人が、
家に入り込んで面倒を看るようになる
ということはよくあります。

これまでの疎遠を反省して、
一大事のときだから
自分を犠牲にしてまで面倒を看る
というのであれば、美しい話です。

しかし、弁護士に相談に来るケースでは、
後日気づいたら通帳の残高がなくなっていたとか、
保険が解約されていたということが多いんです。

本人は、高齢で寝たきりなので、
そんなに多額の現金を使うということは
考えられません。

ということは、・・・。
しかし、後から誰がどうしたかを立証するのは
なかなか難しいです。

また、その面倒を看ていた人に
遺産の全てを与える内容の遺言書が
出てくるケースが多いです。

本当に、自分を犠牲にして
面倒を看ていたならよいのですが、
そうではなかったり、
そうであることを立証できなかったりで
争いになります。

高齢者の財産を狙っているのは、
外部の人だけではないのです。


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2005年5月26日(木)

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