弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第64回
高齢者の財産を守るには

高齢者の財産を守る手段としては、
成年後見制度があります。
成年後見制度には、
補助、保佐、後見という3つの方法があります。

いずれも、年齢や病気により
物事の判断能力が十分でない場合に、
その人が単独で契約をしたり、
財産の処分をしたりすることを
できなくする制度です。

これらの制度を利用することによって、
悪徳業者に騙されて契約をしてしまったとしても、
後から、補助人、保佐人、後見人が
契約を取り消すことができます。

業者が成年後見制度により、
補助、保佐、後見の状態にあったことを
知らなかったと言っても通用しません。

このように、成年後見制度は、
高齢者などの財産を守るのに
強力な武器となります。

自分は「物忘れが激しくなった」
「何かうまいこと騙されているかもしれない」
という心当たりがある方は、
自分の財産を守るためにも、
成年後見制度を利用した方が良いかもしれません。

一番軽い補助の制度は、
補助人の同意を得なければできないことを、
自分が心配な土地建物の処分や借金などに
限定することができます。

補助人は、弁護士などの専門家でなく、
自分の夫や妻、子供でもOKです。
そうは言っても、
ほとんどの高齢者の方が
自分は大丈夫と思っていると思います。

周りの家族が、成年後見制度を
利用したらと助言なんかしたら、
「自分を年寄り扱いするのか!」と
怒られてしまうかもしれません。
「お前は俺の財産を狙っているのか!」と
逆に疑われる可能性もあります。
それでも、前回前々回にお話したとおり、
高齢者の財産を狙っている
業者などはたくさんいます。

なかなか話しづらいことではありますが、
家族全員で話し合って
成年後見制度の利用を考えてみてください。

財産の問題でもあり、
本人が家族全員で話し合うのが嫌だ
という場合もありますから、
「それなら弁護士と一度相談してみたら」と
勧めてみるのも一つの方法です。


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2005年5月31日(火)

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