弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第70回
ネットで商品を売る場合も

前回、ネット詐欺の被害に遭わないためには、
基本的に、いわゆる代引(代金引換)か、
代金後払いを利用するのがよいという話をしました。
今回は、逆に、ネット上で商品を売る場合の話です。

商品を受け取って、
代金を支払わない詐欺を
「取り込み詐欺」と言います。
これも現実の社会では、よくある詐欺です。
しかし、現実の社会では、
初めてのお客に対し、代金を後払いで、
先に商品を渡してくれるという売り手は
なかなかいません。

そこで、取り込み詐欺では、
何度か現金払いで信用をつけて、大きく掛けで、
即ち、商品先渡し代金後払いで仕入れたときに、
代金を支払わずに
商品を持ち逃げするというのが一般的な手法です。

これに対し、ネット上の売買では、
前回説明したように、代金先払いでは、
買い手が売り手を信用してくれず、
商品が売れないという事情もあって、
お客を信用して商品先渡し、
代金後払いの方法を取るケースも多いようです。

ネットで、商品が販売できれば、
店舗を借りずに済むし、
営業もホームページの更新で済むので、
現実の社会で店舗を設けて販売するよりも
コストが少なくて済みます。
ネットオークションでも、
自分が不要としていたものを売却できて
お金になれば得になります。

しかし、ネット上の買い手は、
身元が確かなのかも、
本当にお金を持っているのかもわかりません。
詐欺師が、自分は詐欺師だというはずもありません。

ネット上で、商品を販売する場合、
代金を先払いしてもらえるくらい
信用がつくまでは、
代金後払いという方法を取るというのも
1つの方法です。
また、一定割合は代金が払われないのは
諦めるというのも1つの方法です。

どうしても、代金の支払いを
確実にするという場合には、
代引きか、代金前払いとするほかありません。

代金前払いでは、
買い手が躊躇するリスクがあります。
代引きを利用すると、
運送業者等に手数料を支払う必要があります。

クレジットカードを
利用するという方法もありますが、
カード会社への手数料もあり、
買い手がネット上でクレジット番号を入力することに
抵抗を感じるということもあります。

これらを、よく考慮して、
代金の支払方法を選択してください。

ネット上で取引する場合には、
売り手も買い手も、
相手のことが相手の説明している範囲でしか
確認できない(嘘かもしれない)ということを
常に頭の片隅に置いておくことが、
ネット詐欺に遭わない秘訣です。


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2005年6月21日(火)

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