弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第79回
新所有者に管理費の支払義務

前回ご紹介した
マンションの管理費等の滞納に対し
どのような回収手段が取れるか説明します。

マンション管理費の滞納に対し、
通常の法的手続きとしては、
裁判を起こして、判決を取って、
給料や預貯金などを
差し押さえるという方法があります。
これは、普通の貸金や売掛金の回収と同じです。

マンション管理費を滞納している人が
サラリーマンであれば、
給料を差し押さえることができますから、
効果が見込めます。

マンションが貸してある場合には、
その賃料を差し押さえることができるので、
やはり、裁判を起こして、判決を取ることには、
管理費の滞納には効果があります。
マンション管理費の滞納に対して、
特殊な対抗策があります。

マンションとマンションに
備え付けられた物を差し押さえて
売却することができる
先取特権という権利があるのです。

マンションの管理費を滞納している場合には、
この先取特権の行使により、
マンションを売却するというのが特殊な対抗策です。

しかし、この対抗策には、弱点があります。
住宅ローンのために抵当権が設定されていた場合
抵当権が優先してしまうのです。
だから、住宅ローンの残高が
マンションの価格を上回るケースでは、
利用できないのです。

ただ、マンション価格が
住宅ローンの価格を下回ると思われる場合には、
有効な手段となります。

もう1つの特殊な対策は、
マンションが売却された場合には、
買主である新所有者に請求ができるということです。

だから、マンション所有者が破産したり、
マンションが競売にかけられたりした場合には、
新所有者に滞納管理費を
払ってもらえることとなるのですから、
管理組合としては悲しむべきではなく、
喜ぶべきこととなります。

逆に、中古マンションを購入するときには、
前所有者に管理費の滞納があると
支払わなければなりませんから、
前所有者の滞納管理費の額を
確認しておく必要があります。


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2005年7月21日(木)

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