弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第80回
マンションを利用できなくする

ここ数回、
マンション購入のリスクの1つである
同じマンションの住民の管理費の滞納について、
お話しています

他の住民が支払ったマンション管理費により、
マンションの修繕や管理がなされているから、
仮に管理費を滞納していたとしても
快適にマンションを利用できるわけです。

そこで、マンションの管理費を
支払わない住民に対してマンションの利用を
禁止することはできないかと考えて、
滞納者に対し、
使用禁止の裁判を起こした管理組合があります。

その根拠は、
建物の区分所有に関する法律という法律にあります。

管理組合は、この法律により、
他の住民の利益に反する行為をしている住民に対しては、
その差し止めを裁判で請求することができ、
差し止めが有効でないときは、
マンションの使用禁止を
求めることができることとなっているのです。
それでも効果が無ければ、
マンションを競売にかけることができます。
マンションの管理費を払わないことが、
他の住民の利益に反する行為であることは明らかです。

そこで、裁判所も、第1審では、
管理費の滞納者に対し、
2年間のマンションの使用禁止を認めました。
しかし、何と、2審の高等裁判所では、
マンションの使用禁止を認めませんでした。

その理由は、マンションの使用禁止を認めても、
管理費の滞納が回収されることには
ならないからだというのです。

管理組合としては、
いきなり競売ではかわいそうなので、
使用禁止を請求したのですが、
裁判所は、いきなり競売請求をしろ
ということのようです。

マンション管理費の滞納が、
多額になってしまった住民がいるときには、
最終的には競売にかけるということで
解決を図るほかないようです。

前回、先取特権という権利に基づく競売について
説明しましたが、
そのときは、マンションの価格が
住宅ローンの残存価格より低いときには
役に立たないと説明しました。
この競売請求は、マンション価格が
住宅ローンの価格より低くても、
競売にかけることができることがミソです。


←前回記事へ

2005年7月26日(火)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ