弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第83回
権利証がなくなる

不動産の取引には、
権利証と実印、印鑑証明が必要だということは、
みなさんご存知のことだと思います。

土地や建物の所有権は
登記で決まることが多く、
その登記をするには、
権利証と実印、印鑑証明が必要となるからです。

ところが、この度、
不動産登記法という登記について
定めている法律が改正されて、
権利証の制度が廃止されたのです。

どうして、
みなさんがこれまで慣れ親しんだ
権利証の制度が廃止されたかというと、
パソコンからオンラインで
登記の申請を可能にするためです。

パソコンから権利証を
法務局のパソコンに送ることはできません。
PDFファイルの形式で送れますが、
それはコピーなので、
権利証がいくつもできてしまうことになります。

権利証がなくなってどうなるかというと、
今後は、登記識別情報という12桁のパスワードが、
権利証の代わりになります。

権利証は書類ですからなくなれば、
すぐにわかります。
しかし、登記識別情報は、
パスワードですから見られてしまうと、
パスワードを記載した書類が手元にあっても、
悪用されるおそれがあります。

そこで、登記識別情報は、
一度はがしたら、二度と貼れない
特殊なシールが貼って送られてきます。
そのシールをはがさずに保管しておくのが
正しい保管方法となります。

一度自分でシールをはがして見てしまうと、
その後、誰かが登記識別情報を見て写しても、
わからないからです。

権利証の制度がなくなるとしても、
今所有している土地や建物については、
今の権利証を利用して
登記申請することとなりますので、
権利証は、これまでどおり、
大切に保管しておいてください。


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2005年8月4日(木)

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