弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第85回
お骨の行方

双子山親方(元貴乃花)の
相続に絡んだ若貴問題でも、
中尊寺ゆつこさんのお母さんと
ご主人との相続問題でも、
遺骨を誰が弔っていくのか
ということが問題となったようです。

過去の裁判例でも、
内縁の妻と本妻、先妻の子と後妻、
嫁と夫の実家などが
遺骨を巡って争っています。

一般的には、その地域などの慣習で、
お墓や仏壇・位牌を管理していく
祭祀承継者として決まっている人が、
遺骨も守っていくということとなっています。

慣習で、配偶者が
お墓を守っていくと決まっていれば、
配偶者が遺骨も管理することとなりますし、
長男がお墓を守って行くこととなっているのであれば、
長男が遺骨を管理していくということとなります。

ただ、裁判になるような例は、
親族関係が円満に行っていないことから、
○○家という家の問題が出てきたり、
感情的な対立の問題が出てきたりで、
なかなか誰に決めるか難しいものが多いです。

内縁の妻に認められたものもあるし、
会社を承継した三男に
認められたものもあります。
祭祀財産を分けて
管理するように命じた判例もあります。

だから、遺骨の問題は
ケース・バイ・ケースで、
実際争ってみないと
誰のものかがわからない場合も多いです。

ただ、実際上の争いでは、
遺骨の問題というよりは、
財産争いが裏に潜んでいるケースも見受けられます。
遺骨はあげるから、
遺産は全部放棄して欲しいといったら、
それは別だという回答が返ってくると思います。
かえって、遺骨を守るのだから
遺産を多く欲しいと
いってくるのではないでしょうか。

内縁の妻と本妻の争いでは、
内縁の妻は相続権がありませんから、
純粋に感情の争いで、
裁判所で判断してもらう他
解決しようがありません。
相続権がないからこそ、
遺骨を主張し、
交渉材料にしているのかもしれませんが・・・。


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2005年8月11日(木)

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