弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第89回
多重債務者を食い物にする弁護士

借金の無料相談が
多重債務者に対するワナとして
利用されているという話をしています。
今日の話は、同じ弁護士として恥ずかしい話です。

弁護士の中には、
借金の無料相談を行なっている
NPOなどの団体と提携して、
多重債務者を食い物にしている弁護士がいます。
このような弁護士は
「非弁提携弁護士」と呼ばれています。

前回と同様
ホームページやフリーペーパーなどで、
NPOなどが借金の無料法律相談の広告を掲載します。
これを見て借金の相談に訪れた多重債務者に対し、
NPOなどの相談担当者は、
借金の整理を弁護士に依頼する必要があるから、
この弁護士のところへ行きなさいと
弁護士を紹介します。

弁護士事務所に行くと、
法律事務所の事務局長などの事務職員が相談に乗り、
弁護士費用などを決め、
毎月の法律事務所への支払額を決めます。
これだけ書くと、あまり問題があるとは思えません。

しかし、この仕組みの中で、
弁護士は一定の手数料をもらって
名前を貸しているだけで、
借金の事情の聞き取り、借金の整理の方針の決定、
その後の事務処理など、
弁護士は全く関与しません。

最初に借金の整理を引き受ける際に
弁護士が現れないと怪しまれることもあって、
最初の1度だけは弁護士が面接する場合もあります。

しかし、実質的には、
法律知識も資格もない事務職員が
弁護士業を営んでいるのです。

NPOなどの無料法律相談を行なっている団体は、
弁護士から紹介手数料をもらうために、
広告を行なっているにすぎません。
借金の整理に詳しい弁護士を紹介しているのではなく、
自分に紹介料を払ってくれる弁護士を
紹介しているだけなのです。

ちなみに、弁護士は
顧客を紹介してくれた人に
紹介料を支払うことを禁止されています。
もちろん、名義貸しも禁止されています。

ただ、これらに違反していたとしても、
きちんと多重債務者のため借金が整理されれば、
弁護士などが処罰されるだけで
多重債務者に損害はないのですが、
実際はそうなっていません。
その内容については次回お話します。


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2005年8月25日(木)

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