弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第88回
借金の無料相談に気をつけろ

借金の返済に追われている
多重債務者に対するワナは、
まだまだあります。
それが、借金の無料相談です。
ホームページやフリーペーパーなどに、
借金の無料相談という広告が出されているようです。

借金している人はお金に困っているので、
「無料で借金が何とかなるなら」と
無料相談に行くようです。
しかし、この無料が曲者です。

相談場所には家賃がかかりますし、
相談を受けるには時間労力がかかります。
それを無料でやるということは、
よほどの善意で身銭を切って
活動していることとなります。
そのような善人が
どれくらいいるのか僕にはわかりません。

多くの無料相談は
そのような善意で行なわれておらず、
相談者から収益を上げようとしているようです。
この問題のある無料相談には、
大きく分けて2つのパターンがあります。

まず、無料相談を受けた者が
借金の整理をするケース。

そもそも、借金の整理は、法律事務ですので、
弁護士か、司法書士しかできません。
(ただし、司法書士は
 破産や個人再生の申立はできませんし、
 法律上取り扱える範囲が限定されています。)
資格もないのに借金の整理の仕事を受けるのは
弁護士法に違反します。

借金の無料相談を受けると、
それなら、自分が整理してあげるよと持ちかけます。
最初に安い手数料を提示し、
その後、「交渉相手が難しいから」
「知り合いの弁護士に依頼するから」などと
いろいろな名目でお金を要求してきます。

サラ金などは、
基本的に弁護士以外と
借金の整理について交渉に応じません。
応じるとすれば、サラ金に有利な案なので、
あまり借金の整理にはなりません。
だから、弁護士以外なのに
自分が借金の整理をしてあげるという言葉は嘘です。

知り合いの弁護士に依頼するという場合も、
まともな弁護士は、
多重債務者本人と会って事情を聞かなければ、
依頼を受けたり、借金の整理をしたりしません。

だから、弁護士以外から安く
借金の整理をしてくれると言われても、
詐欺の場合が多いので、
頼まない方がいいと思います。
借金の整理の相談は弁護士にしてください。

もう一つのケースは次回に説明します。


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2005年8月23日(火)

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