弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第94回
勤務時間中の出会系メールで解雇

勤務時間中に、
出会い系のメールのやり取りをしていたことを
理由にした懲戒解雇は
有効かということが争われた裁判で、
解雇は有効という判決が出ました。

9月15日の朝日新聞(夕刊)によると、
専門学校の先生が勤務先のパソコンで、
複数の出会い系サイトに登録。

98年9月から03年9月までに、
出会い系サイトや女性とのメールが、
送受信とも800件以上あり
そのほとんどが勤務時間内に
送受信されていたそうです。

雇っている専門学校は、
これを理由に先生を解雇し、
先生は授業などの勤務に影響はないから
解雇は無効だと争ったようです。

一般の方の感覚では、
勤務時間中に、サボっていたら、
即、解雇されても仕方がない
という感じかもしれません。

しかし、従業員の懲戒処分には、
戒告(注意)、減給、出勤停止などがあって、
どうしようもない場合が解雇なので、
法律上はそう簡単に
懲戒解雇は認められないのです。

それにこの事案は、
対象が専門学校の先生であり、
授業に支障がなければ、
十分職責は果たしているとも言えそうです。

実際、第1審判決では、
「不適切な行為だが、
 授業などをおろそかにしたわけではない」として、
解雇を無効としたそうです。

メールの送受信にかけた時間や
メールの内容にもよるとは思いますが、
人によって判断が分かれる
微妙な問題だと思います。

解雇を有効とされた先生は、
最高裁に上告するでしょうから、
最高裁の判断が
どちらになるか気になるところです。

みなさんは、どちらと考えますか?


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2005年9月20日(火)

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