弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第101回
見出し配信ビジネスは違法

他社のニュースの見出しを無断で引用して、
「一行ニュース」として配信し、
そこに広告を掲載して
広告料収入を得るというビジネスを
行なっていた会社がありました。

このニュースの見出しをクリックすると
「yahoo」のホームページに飛んで、
記事本文が読めるという仕組みになっていました。
ちなみに、「yahoo」は
新聞社や通信社にお金を払っています。

この一種のただ乗りビジネスに対し、
ある新聞社が、見出し自体に著作権があるので、
見出しの無断使用の差止めと
損害賠償を求めて訴訟を起こしたのが、
この事件です。

1審では、見出しには、
著作権が成立しないので、
差止めも損害賠償請求も認められませんでした。

このビジネスモデルは合法ということでした。
しかし、先日、高等裁判所では、
見出しには著作権が成立しないので、
差止請求は認められないが、
見出しも
「多大な労力・費用をかけた取材、
 編集などの活動があるから
 有用な情報となり、法的保護に値する」として、
見出しの無断使用は違法だとして、
損害賠償請求を認めました。

ニュースの見出しの無断配信は
違法だとされたのです。
法律的には、なかなか難しいのですが、
この判断自体は、常識的な結論だと思います。

ただ、この判決は、見出しの無断使用は
違法だと言っているのであって、
見出し自体は自分で考えて、
ニュースのホームページにリンクを貼って
配信すること自体を
違法としたわけではないようです。

また、見出しの無断使用の賠償額は、
1ヶ月で1万円でした。
ということは1ヶ月1万円の賠償金を覚悟すれば、
見出しの無断配信を続けられる
ということにもなります。
このビジネスで得られる利益を考えたら、
月1万円の賠償金は高くないような気がします。
みなさんはいかがでしょうか?

注意)実際にこのようなビジネスを
    やる人はいないとは思いますが、
    やる場合には、法的リスクは、
    自分で弁護士等に確認して行なってください。


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2005年10月13日(木)

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