弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第111回
破産しても残せる財産

破産と言っても、
経営している会社が破産する場合と
個人が破産する場合があります。

会社が破産する場合には、
会社の財産を清算して
会社を消滅させることとなるので、
残せる財産は全くありません。
価値のあるものは全部売却して現金に換えます。
価値のないものは廃棄することとなります。

これに対し、個人が破産する場合、
会社と違って破産したからと言って、
人間を消滅させるわけにはいきません。
個人の破産は、一度は借金を棒引きして、
人生をやり直すチャンスを与えるというのが目的です。

したがって、破産したとしても、
生活に必要な財産は残せることとなっています。
それから、売却しても売れないもの
(あるいはそれほどのお金にもならないもの)は
破産者の手元に残ることとなります。

そこで、まず、
テレビ、エアコン、布団、洋服たんすなど
生活に必要な家財道具は、複数あったり、
すごい価値があったりするものでなければ、
破産してもそのまま使用できることとなります。

ブランド物の洋服やバッグがあった場合でも、
購入金額にもよりますが、
売却しても大した金額にならないという場合には
手元に残ることとなります。

ローンで購入して支払が完了していないものは、
ローン会社が担保権を設定しており、
支払を止めればローン会社が引き上げて
処分することとなりますから、
破産すれば手元に残すことはできません。

例えば、自動車をローンで購入して、
自動車を使い続けるために、破産はするけれども、
そのローンだけを支払い続けると言うことはできません。
そんなことをしたら、
借金を支払わなくてよいとする免責決定が出ません。
債権者は全て平等に扱わなければなりません。

次に、現金は、
99万円まで残すことができるようになりました。
保険などは、解約返戻金が
20万円以下であれば残すことができます。

それから、破産したからと言って、
会社を辞める必要はないし、
新しい職業につくことができないわけではありません。

ただ、保険の外務員、証券外務員、
警備員などの方は破産すると
その資格を失いますので、仕事ができなくなります。
これも、免責決定が確定すると、
再び資格を取って
これらの仕事をすることができます。


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2005年11月22日(火)

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