弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第115回
同族会社で代表訴訟!

みなさん、株主代表訴訟という言葉は
聞いたことがあると思います。
株主代表訴訟とは、会社の役員が、
違法なことをして会社に損害を与えたときに、
株主がその役員に対し
会社の受けた損害の賠償を求める訴訟のことです。

上場企業が不祥事を起こすと、
株主が役員に対し、
株主代表訴訟を起こすことが多いので、
みなさんは、株主代表訴訟は、
上場企業の話と思っている人が
多いのではないでしょうか?

しかし、実際は、
上場企業の役員に対する株主代表訴訟よりも、
同族会社の経営争いに利用されることが多いのです。

遺言や遺産分割協議により、
長男である新社長が
会社の株を過半数持っているとしましょう。

他の兄弟は、
半数に満たない株しか持っていませんから、
会社の経営については、
長男に従わなければならないので、
面白くありません。

そこで、株の過半数を持っている長男を困らせ、
何とか社長から追い落とすために、
株主として、社長である長男が
会社に損害を与えたことを理由に、
株主代表訴訟を起こすのです。

この代表訴訟の理由としては、
会社の不正経理や愛人に給料を支払っていたこと、
会社の財産を相場よりも
安く売買したことなどが考えられます。

株主代表訴訟は、
1株しか持っていない株主でも
起こすことができます。
だから、圧倒的多数の株式を取得したから
何をやっても許されると思って、
経営していると
思わぬところから足をすくわれかねません。

特に、相続で揉めた末に、
株式の過半数を抑えて、
社長の座を射止めた場合には、
他の相続人が経営を狙っているおそれがあるので、
特に、襟を正した経営をすることが必要となります。


←前回記事へ

2005年12月6日(火)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ