弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第119回
借金の免除を受けると税金が

会社でも、個人でも、
「支払いが苦しいから、
 支払いを減額してくれたら支払う」と言って、
支払いを負けてもらうときがあると思います。

この支払いを負けてもらうことを
支払う債務者側から言うと「債務免除」、
請求する債権者側から言うと「債権放棄」と言います。

普通、支払う額を減額してもらえば
その分得をするのですから、
債務免除を受けた方がいいわけです。
ところが、その得をしたことに、落とし穴があります。
それは、税金です。

税法上は、
債務免除を受けて得をしたということに、
目をつけて、債務免除を受けた分だけ
利益が発生したと考えます。
これを債務免除益と言います。

会社では、利益があるところに、
課税されますから、
債務免除益は、法人税の対象となります。

個人の場合、債権者が個人か会社かで
取り扱いが異なります。
債務免除をしてくれた債権者が個人の場合には、
債務免除を受けた分だけ、贈与を受けたとされ、
贈与税が課されます。

債務免除をしてくれた債権者が会社のときには、
一時所得として、所得税が課されることとなります。

2億円の借金があって、
半額の1億円を払えば残りは負けてあげると言われ、
全財産を換金して、知り合いから援助してもらって、
1億円を作って、残りを免除してもらって
解決がついたと思っていたら、
後から債務免除を受けた1億円に、
法人税や贈与税などが課され、
大変なことになってしまうのです。

もちろん、ケースによって、
常に税金が課されるとは限りません。

しかし、税法上は、
一度債務免除を受けてしまうと
税金が発生してしまうので、
後から税金が発生することがわかったからといって
取り消すことはできません。

大きな額の債務免除を受けるときには、
税理士さんに、税金の相談をしてから、
受けた方がいいと思います。

いつも言っている通り、
僕は、弁護士ですので、
個別のケースで、
債務免除を受けたときに
税金がかかるかどうかはわかりません。
税理士さんに具体的事情を説明して
相談してください。


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2005年12月20日(火)

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