弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第118回
「一般民事」「渉外」って、何だ?

みなさんは、弁護士に関して
「一般民事」や「渉外」という言葉を
聞いたことがありますか?

聞いたことがあるという方は、
かなり弁護士に詳しい人です。
僕だって、司法試験に合格して、
修習生になるまでは、知りませんでしたから。

「一般民事」と「渉外」は、
弁護士が主に担当する仕事内容です。

「一般民事」というのは、
一般に国内の個人の離婚や相続から
会社の売掛金の回収など、
民事のトラブルについて、
訴訟や交渉をして解決することです。

「渉外」というのは、
外国人や外国の会社との取引について、
契約などの法的問題点をチェックすることです。
外国での裁判をするわけではありません。
渉外事務所は、外国関係の問題に限らず、
一般的に、大企業の企業法務をしていることが多いです。

企業法務とは、企業が契約をするときや
会社の仕組みを変更するときに、
事前に法的問題点をチェックすることです。

一般的に、渉外事務所の方が大規模で
弁護士の人数も多いところが多いです。
ただ、日本の弁護士のほとんどは、
国内の一般民事の事務所で、
人数も少ないところが多いです。

依頼するにも、就職するにも、何となく、
顧客が外国企業や大手上場企業で、
弁護士が大人数の渉外事務所の方が
カッコいいような気がします。
僕も、就職のときには、
渉外事務所もいいかなと考えました。

しかし、弁護士の強みは、
日本の法律について詳しいということと、
訴訟や交渉によりトラブルを
解決することができるということです。

単なる制度や手続に関するアドバイスは、
コンサルタント会社や企業の法務部の担当者でも
判例や文献を調べれば可能です。
しかし、実際の訴訟やトラブルについて
過去どういう手段でどういう内容で
解決したかという知識や経験がないと
よいアドバイスはできないと思います。

ただ、一般民事の事務所では、
会社法や独禁法、特許法、労働法といった
企業法務に必要な法律に関心を持たない弁護士も
多いような気がします。

そこで、僕は、
訴訟や交渉を主にやっている一般民事の事務所で、
会社法や独禁法、特許法、労働法といった
企業法務に必要な法律に関心を持っている
弁護士のいる事務所に就職しました。

個人や中小企業のトラブルを
訴訟や交渉で解決するだけでなく、
中小企業の企業法務にも
対応できることを目指したからです。
中小企業だからといって、
会社法や独禁法、特許法、労働法などの法律が
不要だというわけではないからです。


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2005年12月15日(木)

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