弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第125回
相続預金を自分の分だけ下ろせるか?

前回、
「お父さんが亡くなり、遺産として、
 銀行預金が3000万円残されました。
 ABCの3人兄弟で、Cは海外に行っていて
 すぐに連絡が取れない場合、
 ABが自分の相続分1000万円ずつを
 下ろすことができないか?
 裁判で、銀行とABはどちらが勝ったでしょうか?」
という問題を出しました

みなさん、どういう風に考えたでしょうか?

厳密に言うと、
判例上解決しているのかわかりませんが、
ほとんどの判例は、相続預金については、
自分の法定相続分の預金を
下ろすことができると判断しています。

だから、判例によれば、
遺産分割前でも、ABは自分の相続分である
1000万円ずつを下ろすことができるのです。

しかし、実際の銀行の窓口では、
すんなり自分の法定相続分の預金だけを下ろすことを
認めてくれないのが実情です。
銀行は、判例に逆らっているのです。

これは、後から、遺言書が出てきて、
「預金は全て自分のものだった。」
という相続人が出てくることもあるし、
遺産分割によりその銀行の預金は、
他の相続人のものとされた可能性もあるからです。

銀行は、判例にしたがって、
ある相続人に対し
法定相続分だけ支払ったときに
他の相続人から支払った預金を返せと
訴えられる可能性があるのです。

そして、銀行が他の相続人から訴えられた場合、
銀行が判例に従って預金を支払ったのだから
一部の相続人に法定相続分を支払っても
責任はないと認められるかは
今の段階では、はっきりしていません。

即ち、一部の相続人に支払った預金を
他の相続人にも
返さなければならない可能性もあるのです。

だから、銀行は、判例上、
法定相続分は相続人が1人でも
請求できるとされているにもかかわらず、
相続人の全員の署名捺印がないと
預金を下ろすことに応じないのです。

公共性のある銀行が、判例があっても、
その判例に従わないということがあるのです。

そこで、相続預金について、
銀行と揉めるということはよくあります。


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2006年1月19日(木)

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