弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第126回
ライブドア・ショック

インフルエンザにかかってしまい、
休載させていただき、すみませんでした。
風邪を引いたり、インフルエンザにかかっていたりする人が
相談者にも多いので、みなさんお気をつけください。

さて、僕が寝込んでいる間に、
ライブドアの社長が証券取引法違反
「風説の流布」容疑で逮捕されました。
まだ、逮捕された段階で、被疑者は否認しているようなので、
最終的な判断は、裁判所が決めるということになります。

新聞、テレビの報道の中には、
「金儲けがいけない」「規制緩和がいけない」
というものもありました。
「金儲け」とは「利益を生む」ということだと思います。
事業や会社というのは、
普通、利益を出すためにしているのであって、
それがいけないということになると、経済社会が成り立ちません。

バブル崩壊後、日本の会社は、より多くの利益が出るように、
不採算事業の廃止や無駄な支出の削減を行なってきた結果、
最近、利益を生むようになり景気が回復したのではないでしょうか?
特に、上場企業は、
株主から経営者が投資資金を預って、
事業を行い、利益を生み出し、
株主に配当することを目的としているのですから、
「利益を生む」、即ち「金儲け」のために経営しているわけです。
そういう意味では、日本が世界に誇る上場企業でも
きっと「金儲け」ために経営しているはずです。

だから、「金儲け」を目的とすることは
いけないわけではないのです。
今回の件で問題なのは「金儲け」のために
違法なことをしたということなのです。
要するに、「金儲け」はしてもよいが、
法令は守りましょうということです。
報道の方にはこの点をきちんと押さえて
報道をして欲しいものです。

これが、よく言われる
「法令順守(コンプライアンス)」です。
「法令順守(コンプライアンス)」ということは、
法律を守るという当たり前のことなのですが、
最近、企業不祥事がある度によく言われるのは、
今回のライブドアの件に限らず、
「利益を上げるためなら、多少法令に違反しても・・・」
と考える経営者や従業員が多いからかもしれません。

この点は、弁護士や会計士などの専門家がきちんとアドバイスし、
行政や司法が取締をしていくほかないと思います。


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2006年1月31日(火)

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