弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第157回
株主は会社の持ち主だから

HiQをご覧になっているみなさんの中には、
株式投資をしている人も多いことでしょう。
今日は、その株式の話です。

株式は、会社を多数に分けた会社の持分です。
そして、その株式を持っている人が
株主ですから、
株主は会社の所有者となります。

ただ、上場企業などでは
1人で全ての株式を
持っていることはありませんから、
会社を多くの株主で
共有していることとなります。
ちなみに、トヨタ自動車の株主は、
約35万2000名だそうですから、
35万2000名の株主で
トヨタという会社を共有しているわけです。
発行済株式総数は、
約36億株のようです。

そこで、トヨタの株式を
1株持っている人は、
トヨタの資産を
36億分の1持っていることとなります。
このような会社の持ち主である株主には、
会社の所有者として、
自分が持っている会社の財産を
分けてもらう権利があります。

しかし、会社が営業継続中なのに、
1人の株主だけが
自分の株式に応じた財産を
分けてくれというわけには行きません。

この自分の株式に応じて
財産を分けてもらう権利は、
「残余財産分配請求権」と言って、
会社が営業を止めて、
会社の財産を
清算するときに行使することができます。

次に、株主は、会社の所有者なので、
会社が利益を上げたときには、
その利益をもらう権利があります。
これがみなさんもご存知の
「配当請求権」です。

株主は、会社の持ち主ですから、
当然、会社の経営方針などについて
決定することができます。
これが、「議決権」です。

しかし、実際は、
多数の株主と会社を共有していますから、
1人で会社の方向性を
決めるわけにはいきません。
株主は、株主総会で、
現実に経営に当たる取締役の選任や、
その経営結果である決算書について
意見を述べるということになります。

株主は、会社の所有者であり、
持ち主であることから、
「残余財産分配請求権」と
「配当請求権」、「議決権」を持っているのです。


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2006年5月23日(火)

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