弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第156回
地主にもいろいろ権利がある

一般に、建物を建てるために
土地を貸してしまうと、
借主に借地権が発生してしまうので、
地主の権利が弱くなると言われています。
借地権が借主の財産になることは、
第34回第35回でお話ししました。

借地権は、土地の値段の
6割から7割の価値があると言われています。
だから、借地権を設定する際には、
権利金や保証金を取らないと
地主としては割に合いません。
今後、新しく借地権を設定すれば
そのような話ができると思いますが、
戦後すぐに貸した場合ではまず、
そのような権利金を取っていないのが普通です。
そこで、借地契約の期間が来たときに、
更新料を取っているのが普通です。
しかし、これも契約書に期間や
更新料が定めていない場合は取ることができません。

これまで土地の価格が下がってきたので、
地代の値上げという話は
できなかったかもしれませんが、
土地の価格が上がり、
固定資産税が上がれば、
それに従って地代の値上げを求めることもできます。
借地人が建物を建て替えようとするときには、
建替承諾料をもらえますし、
借地人が借地権を譲渡するときには
譲渡承諾料をもらうことができます。

建物を建てるために
土地を貸した場合には、
建物が壊れたり、壊したりしてしまえば、
借地契約は終了し、
土地を返してもらうことができます。
だから、借地が駐車場になっていたような場合には、
借地契約を終了して、
土地を返してもらい、他に貸すなり、
売却するなりすることができるのです。
建物を使用していないような場合には、
契約期間が満了すれば、
やはり土地を返してもらうことができます。

地主の方が高齢な場合、
万が一のことがあると
残されたお子さんは事情がわからず
大変なことになるので、
これらの権利を行使して、
借地を整理していくことをお勧めします。


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2006年5月18日(木)

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