弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第166回
在日外国人の遺産はどうなる?

最近は、自らの意思で、
日本に来て、日本に定住する外国の方が増えています。

しかし、戦前、戦後には、
過去の不幸な歴史から、
外国籍のまま日本に定住された方がいます。
具体的には、韓国、朝鮮、
中国、台湾の方と言うこととなります。

戦前、戦後から、日本に定住していれば、
その子供は日本で育ち、
財産も日本にあることが多いわけです。
戦前、戦後から日本に定住された方には
高齢の方が多く、亡くなった場合は、
これまで築いてきた遺産を
どうするかという相続・遺産分割の問題が発生します。

すると、まず、
この在日外国人の方が亡くなった場合、
相続・遺産分割には
どこの法律が適用されるのかが問題となります。

具体的には、
亡くなった方の本国法なのか、
ずっと住んでいた日本法なのかということです。
亡くなった方の法律や
習慣に関する馴染み具合を考えれば、
亡くなった方の本国の法律が適用された方が
よいようにも思えます。
みなさんも、外国で亡くなったからと言って、
相続に亡くなった国の法律が適用される
とすると何がなんだかわからないでしょう。

しかし、相続する側の
在日外国人の方の子供にとってみれば、
日本で生まれ育ったのだから、
日本の法律や習慣の方がわかっているので、
そちらの方が便利だというケースも少なくありません。
どちらの法律が適用されるかについては
「法例」という法律によって決まっています。

基本的には、亡くなった方の本国法によることとなっています。
在日韓国人の方が亡くなった場合には、
韓国法が適用されます。
遺産分割について相続人間で揉めて裁判
ということになった場合には、
日本の裁判所で裁判をします。

だから、日本の裁判所で、
韓国法に基づいて、裁判をすることとなります。
しかし、在日朝鮮人の方の場合、
基本的には朝鮮法によるのですが、
朝鮮法が日本にある財産については
日本法を適用すると決めているので、
実際は日本法が適用されることとなります。


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2006年6月22日(木)

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