弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第187回
隣人との境界争い

今、新しく土地を買えば、
売主に測量をしてもらい、
隣人との境界を確認してもらうのが普通ですから、
境界争いが発生する
ということは余りありません。
隣人の土地との境界がどこか
トラブルになるケースは、
古くから隣同士で住んでいるケースです。

隣人の土地と自分の土地との間に、
境界杭があったり、
塀があったりすれば、
普通は、トラブルになることは少ないと思います。

しかし、この塀や境界杭を、隣人の一方が、
相手の了承なしに、作ってしまったり、
入れてしまったりすることによって、
境界争いが発生することが、
意外と多いんです。
中には、境界杭があったのに、
隣人が知らない間に
抜いてしまったというケースもあります。
この隣人との境界争いについては、
もちろん、裁判で決着することもできます。
しかし、境界の目印となるものがないと、
訴訟で、勝つのは
なかなか難しいということとなります。

ちなみに、法務局に置いてある公図は、
測量を前提とした詳細な図面ではないので、
証拠として役には立ちません。
また、登記簿の面積と
測量した際の実際の面積は、
違う場合も多いので、
登記簿の面積を境界の根拠とすることが
難しいケースも多いです。

このように、
明確な印のない境界争いは難しいのです。
その上、10年、あるいは20年と
時間が経ってしまうと、
相手が境界を越えて使用していた部分を、
時効により、
所有権を取得してしまう
ということもあります。

だから、境界について、
隣人が越境してきたことがわかったら、
すぐに、対処しておく必要があります。
みなさんの土地は、
隣地との境界は大丈夫ですか?


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2006年9月5日(火)

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