弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第194回
相手の財産を調べる手段

前回、相手の収入・財産がないケースでは、
強制執行により
回収する見込みがないので、
請求金額を大幅に減額して、
解決する方がよい場合がある
というお話をしました。

相手の収入・財産がないケースでは、
減額した金額でも
払われない可能性がありますから、
なるべく一括で支払ってもらい、
かつ、減額の合意をすると同時に、
減額したお金をもらうようにした方がいいです。

裁判でするのであれば、
裁判所にお金を持ってきてもらい、
裁判所で金額を確認し、
お金を受け取るのと同時に、
裁判所で、その他の請求を
放棄する合意(和解)をするのがいいです。

さて、お金を請求している事件では、
お金を払う方は、
大体、お金がないと言うに決まっています。
本当にお金がない場合には、
請求金額を譲る
という選択も考えなければなりません。
そこで、相手の言っているお金がない
ということが本当なのかを
確認する必要があります。

ただ、現実に、
個人の財産状況を調査するのは、
プライバシー保護の観点から、
なかなか難しいのが実情です。
銀行は、預金があるかどうかについて、
本人以外では教えてくれません。
不動産なども、
自宅のある場所以外に持っていれば、
探すことは難しいし、
株などの取引を
しているかどうかもわかりません。
これらについて、
相手との交渉の中で聞く
というのも1つの方法ですが、
正直に答えてくれるかは相手次第です。

これまで、こういうことから、
債権者の泣き寝入り
ということが多かったのですが、
これを少しでも解消しようとする
制度ができました。
この制度は、
「財産開示手続」と言います。

債権者が裁判所に申立をすると、
裁判所が、債務者に、
財産や収入を聞いてくれ、
債権者が債務者に裁判所で
財産関係について質問することもできます。


←前回記事へ

2006年9月28日(木)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ