弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第195回
競売物件はなぜ安いか

最近では、
裁判所での競売物件について、
新聞広告がなされているので、
みなさんも、目にする機会が
多いのではないでしょうか。

みなさん、驚かれるのは、
その安さだと思います。
みなさんも、この値段なら、
買ってみようかと
思うのではないでしょうか。

しかし、世の中、
そうそううまい話はありません。
そこで、みなさんが、
競売物件について、
普通の不動産売買と
同じであると誤解して、
購入してしまうことのないように、
その安さの理由について、
お話したいと思います。

そもそも、競売物件とは、
借金などの支払いができず、
銀行などの債権者から、
土地やマンションなどを
差し押さえられて、
競売にかけられた不動産のことです。
機械などの動産についても、
競売は行われますが、
新聞に掲載されるのは、
土地、建物、マンションだけです。
競売の仕組みは、
売買の最低金額を決めて、
購入希望者が
最低金額以上の金額で入札をし、
一番高い金額で入札した購入希望者に
売却するということとなっています。

したがって、
新聞に掲載される不動産の価格は、
入札する際の最低の価格であって、
必ず、その金額で買える
という金額ではありません。
それにしても、
競売物件の最低競売価格は、
時価の約7割と言われています。
なぜ、そのように
低く設定しているかというと、
以下の理由です。

まず、マンションや
建物を購入するときには、
通常の人は、現地に行って、
中を確認します。
しかし、競売物件では、
中に住んでいる人が
任意に見せてくれない限り、
建物やマンションの中を確認することはできません。
裁判所に行くと、
裁判所の執行官という人が
撮影した建物やマンションの中の写真を
見ることができます
(今では、ネットでも見ることが可能です)が、
写真からでは
判断できないことも多いし、
写真を撮影した時点から
入札がされるまでに、
かなりの月日が経過していますから、
仮にその間に何かが変更されていても
わからないのです。


次回に続きます。


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2006年10月3日(火)

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